単純性肥満、症候性肥満・・・これらの言葉は
肥満を原因別に分類したものです。
ちなみに肥満を体型別に分類したものは、前にお話しました。
今回は、単純性肥満と症候性肥満について説明します。
■単純性肥満とは?
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れて、
過剰なエネルギーが脂肪として体に蓄積した状態が単純性肥満です。
食べすぎや身体活動量の低下など生活習慣の乱れが根本にあって、
小児の1~2割が単純性肥満であるといわれています。
加えて小児期から肥満となって、
そのまま成人となれば、高血圧や糖尿病といった、
動脈硬化性あるいは代謝性疾患を発症する可能性は、
標準的な体型を維持している成人の約60倍も
高くなるといわれています。
肥満の95%がこのタイプとされています。
身体の機能に異常があるわけでも、
特定の病気が原因となっているわけでもなく
単純に生活習慣が肥満の原因となっている場合に起こるのが
単純性肥満です。
■症候性肥満とは?
生活習慣に関わらず、病気や身体機能の異常によって起こる肥満です。
ホルモンの分泌異常や脳の疾患からくる摂食異常、
薬の副作用などから起こります。
代謝異常や内分泌疾患の一部でも肥満を来たしてしまう
これらを症候性肥満と言っています。
症候性肥満の例として、以下のようなものがあります。
視床下部性肥満:プラダー・ウィリー症候群
フレーリッヒ症候群
ローレンス・ムーン・ビードル症候群
クッシング(Cushing)症候群では副腎皮質ステロイドの過剰による症状として、
顔面・頚部・体幹部に脂肪がたまって太ります。
甲状腺機能低下症では甲状腺機能の低下によって
脂肪分解が阻害され肥満となります。
カルシウム代謝に関連するホルモンであるPTHに対する細胞の
反応異常を示す偽性副甲状腺機能低下症のIa、Ic型や
偽性偽性副甲状腺機能低下症では、
AHO体型(肥満、低身長、円形顔貌、中手骨・中足骨の短縮など)を
特徴とする肥満を示します。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性は、
男性化(多毛、にきび、低声音など)と肥満を起こします。
薬物性肥満は薬物の副作用としての肥満のことであり、
副腎皮質ステロイド薬などで見られるものが特に有名です。